スポット薬学講座 No. 14 薬科学講座分析化学分野

薬科学講座分析化学分野 准教授 藤本 康之

 一般的に、医薬品の開発は以下のような流れとなっています。1段階目として、生化学的な手法、細胞生物学的手法、薬理学的手法等を用いて、治療薬の候補となる化合物を広くスクリーニングします。その中から、有力な候補化合物を絞り込んでいきます(基礎研究)。2段階目は、主に実験動物を用いることによって、見いだされた化合物に十分な治療効果が期待できることを確認します(非臨床試験)。3段階目として、ヒトを対象とした臨床試験(治験)を行います。治験では、薬物自体に有害作用が無いことを確認するとともに、医薬品たりうるのに十分な治療効果を有していることを確認します。治験は、規模的にも、費用的にも大学の一研究室で実施出来るほど簡単なものではありませんが、本学の場合は附属病院を中心に製薬企業と協力し合うことによって、いくつかの医薬品候補を対象とした治験が実施されています。
医薬品の標的となる薬物作用点は多岐にわたりますが、主なものとしては、①細胞表面の受容体(レセプター)、②細胞表面に存在する輸送体(チャネルやトランスポーター)、③細胞内外に存在する酵素、④ホルモンやサイトカイン、⑤遺伝子発現の調節にかかわる転写制御因子、などが知られています。これらのうち、①~④を標的とする医薬品は非常に多岐にわたります。④については、それ自体が医薬品となっているものも多く存在します。⑤を標的とするものとしては、医薬品として実用化されているものには各種ステロイドホルモン剤やビタミンD等が知られています。
当研究分野では、研究テーマの1つとして、このような薬物標的となりうるタンパク質の遺伝子をほ乳動物細胞に導入し、安定発現株を作成しています。いずれも、GFP等の蛍光タンパク質との融合タンパク質として細胞に発現させることによって、蛍光顕微鏡観察が可能です(図)。たとえば、薬物分子がこれらの細胞に結合する際に、蛍光タンパク質の細胞内局在等に何らかの変化が検出できれば、医薬品候補化合物のスクリーニングに用いることができます。このような細胞を用いることで、医薬品開発に何らかの貢献ができるような新たな研究手法の開発につながっていければと考えております。

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