岩手県後期高齢者医療広域連合が行う重複・多剤投薬者訪問指導等事業における薬局薬剤師の対応と処方変更の要因分析に関する研究

岩手県後期高齢者医療広域連合が行う重複・多剤投薬者訪問指導等事業における薬局薬剤師の対応と処方変更の要因分析に関する研究

 

  • 研究の対象

1)岩手県後期高齢者医療広域連合の加入者

2023年8月の時点で、岩手県後期高齢者医療広域連合の加入者(以下「加入者」)であり、岩手県後期高齢者医療広域連合が行う「重複・多剤投薬者訪問指導等事業」で、服用薬剤一覧リスト(服薬情報のお知らせ)が郵送され、服薬情報のお知らせを岩手県内の薬局へ持参し、服薬相談を行った方。
対象者数は、323人です。

具体的には、2023年8月時点で加入者で、2023年8月の診療において複数の医療機関を受診し、14日以上の処方があり、下記の条件の1.もしくは2.を満たす方が対象となります。

 

1.6剤以上の処方があり、処方中に併用禁忌、同一成分・同種同効薬が処方されている。

2.17剤以上の処方で、検査値・傷病名に注意が必要な薬剤、長期服薬により副作用が起こりやすい薬剤が処方されている。

 

上記の対象加入者の方は、岩手県後期高齢者医療広域連合から服薬情報のお知らせと服薬相談についてのアンケート用紙が郵送されています。

2)薬局薬剤師

岩手県後期高齢者医療広域連合が行う「重複・多剤投薬者訪問指導等事業」で、加入者が服薬情報のお知らせを薬局に持参し、服薬相談についてのアンケートに回答した岩手県内の薬局薬剤師。

対象者数は、244人です。

 

2.研究期間

研究実施許可日~2025年12月31日まで

 

3.研究目的・方法

 

 研究目的

超高齢社会を迎えた我が国では、高齢者が多疾患併存状態にあり、多医療機関の受診や多剤併用が行われ、転倒リスクの増加や有害事象発生率の上昇、服薬意欲の低下、医療財政面からも医薬品使用の適正化が求められています。ところが、薬局からどのような情報を医療機関へ提供すれば減薬や処方の見直しに繋がるのか明らかになっていません。

岩手県後期高齢者医療広域連合は、「重複・多剤投与者訪問指導等業務事業」(以下、本事業)を行っており、2023年度の本事業では、加入者に「服薬情報のお知らせ」等の郵送物を郵送し、薬局への薬の相談を促したところ、薬局へ「服薬情報のお知らせ」を持参した加入者が例年の約30名程度から約300名と約10倍に増え、うち30名程度がお薬を減らすことに繋げることができました。また、本事業では薬局に対し、「服薬相談についてアンケート」を行い、対象加入者のポリファーマシーに対して減薬・処方の見直しの希望や薬局での薬剤師の対応内容などを回答していただきました。

本研究では、そのアンケート内容を集計・解析し、薬局での薬剤師の対応がどのように薬の見直しと関係しているかを明らかにすることで、今後の薬局薬剤師のポリファーマシー対策を検討する上で貴重な資料とするため、本事業で行ったアンケート内容の集計を行い、減薬や処方の見直しに繋がる薬剤師の対応を探索的かつ網羅的に解析します。

研究方法

方法としては、本研究では、岩手県後期高齢者医療広域連合に対し、㈱JMDCが回収した上記のアンケートデータを、パスワードをかけセキュリティ対策を取った上で、

㈱JMDCから研究者へメールにて送っていただくよう依頼します。受け取ったアンケートデータを集計並びに解析に使用します。

 

 

4.研究に用いる試料・情報

㈱JMDCから本学へ提供される、薬局からの「服薬相談についてのアンケート」の回答に含まれる以下の項目

 

1)通し番号 加入者へ郵送される資料「服薬情報のお知らせ」に記載される通し番号と関連しない番号

2) 入力年月日時間、対応日、対応薬剤師名、対応薬局名、薬局の所在する市町村名

3) お薬手帳について、通知書記載項目のうち対応したもの、加入者様の意向、

対応内容、対応結果、患者宅の訪問について、訪問予定日

 

※㈱JMDCから本学に提供される情報は、加入者の氏名等の個人が特定される可能性のある情報は削除され、加工された状態で提供されますので、加入者皆さまのプライバシーは守られます。

また、対象者の皆様を識別するためのコード(服薬情報のお知らせに記載されている通知書通し番号)と個人情報を連結するための情報(表)を作成しますが、その表は岩手県後期高齢者医療広域連合が業務委託した㈱JMDCにて適切に管理され、本学に提供されることはありません。

一方で対応薬剤師名、対応薬局名、所在市町村名については、同じ加入者さんが複数回相談した場合に、どこのどの薬局に相談したのか、また薬剤師が薬局を異動して対応した際の区別や集計作業を行う際に、薬局名および薬剤師名の識別ミスを防ぐために、削除せずそのまま扱わせていただきます。薬局名及び薬剤師名の情報を扱うため、研究責任者が地域医療薬学分スタッフルーム・教授室 部屋番号364内のパスワード付PCにて厳重に管理し、情報漏洩による不利益が発生しないように最大限留意します。

 

本研究で取得した上記の情報は、研究終了後5年間保管し、保管期間終了後は適切に廃棄します。また、上記の試料・情報は、将来別の研究に二次利用する可能性及び他の研究機関に提供する可能性があります。

 

5.研究費および利益相反

本研究は、臨床薬学講座地域医療薬学分野の講座研究費および科研費(基盤研究C21K12035)により実施さます。本研究に関わる研究者は、利害関係が想定される企業等との経済的な利益関係(利益相反)はありません。

 

6.お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。

ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

また、情報が当該研究に用いられることについて患者さん並びにご家族の方、薬剤師の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

 

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:

〒028-3694 岩手県紫波郡矢巾町医大通一丁目1番1号

TEL:019-651-5111(内線5153)

岩手医科大学臨床薬学講座地域医療薬学分野

研究責任者:高橋寛

 

 


 

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