Dr OZくすりのよもやま話 (15) 

くすりの効き方の不思議さ・面白さ・・・(2)

令和3420

前回、突然の頻脈(突然心臓の鼓動が速くなる)にみまわれ、何度も経験していたとはいえ、その時は強いドキドキ感があったので、さすがにこれはまずいと思って保健センターに行き、先生の診察を受けた後、2種類のくすりが出たことを書きました。

 

不整脈の治療薬だ、と思った薬の【効能・効果】は、本態性高血圧症、狭心症、期外収縮(上室性、心室性)、発作性頻拍の予防で、もう一つの薬の【効能・効果】は、神経症における不安・緊張・抑うつ、心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、等)、ほか、があげられていました。

 

先生には、1錠ずつのんでみて、どちらが発作を起こりにくくするかがわかればよいし、両方同時にのまないとだめか、とか、いろいろ試してごらん、と言われました。

 

結果的に、不整脈の治療薬の方は、全く効果はありませんでした。逆に薬をのんだせいで、と考えられる期待しない作用、すなわち、副作用もありませんでした。毒にも薬にもならぬ、というのがまさにこれかもしれません。

 

当時の私にとって「劇的な効果」と感じたのは「神経症における不安・緊張・抑うつ、心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、等)、ほか、」を【効能・効果】としている方でした。以前に、「夏スキーも含めて年がら年中滑るので、一年中トレーニングをしていた」と書きましたが、このような生活は21歳くらいまでの2年ほどしか続きませんでした。実習が毎日あるようになったからです。このような状況でも運動をすればよかったのですが、一緒にトレーニングをしていた人たちには理系のヒトが多く、トレーニング習慣は自然消滅してしまいました。その後、スキー場でのリフト待ちのときに感じた強い動悸は25歳のころだったのですが、その間、「何となく気分が優れない」という状況が続き、いろいろと感じる症状をとらえては医師の診察を受けるようなことをしていました。そんな中で、「神経症における不安・緊張・抑うつ、心身症」に用いる薬をのんだ後の感想を一言で表現するならば、「霧が晴れる」でした。この霧が晴れた状態では、頻脈も起こりそうもない、すなわち、久々の喜びにあふれる、という状況です。軽い頻脈であれば1週間に1回くらいの頻度で経験していましたから、起こるときには予期できるような状態でした。予期前の平常な状態でも何となく霧がかかっているという状況でした。効果の程度の表現を用いれば、「著効」でした。

 

このような結果になったことを保健センターに報告に行きました。処方してくださった先生からは、「神経症における不安・緊張・抑うつ、心身症」の方の薬で著効になるなら大丈夫だ、定期的に来なさいね、と言われて4年間くらいにもわたった不定愁訴に終止符を打ちました。当時の自分としては、突然起こる頻脈に、中枢神経に作用し、不安・緊張・抑うつを軽減するくすりが著効を示すことはうれしい誤算でした。同時にくすりの効き方の不思議さと面白さを実感した気分になりました。

 

それからは不思議と体調は落ち着きをみせました。もちろんありえないことですが、いまでも思うのは、薬を処方され、受け取る時、いつものんでいる薬と全く見分けがつかないプラセボ(偽薬)が出されていたらどうだっただろう、です。効果がなくなって、おかしいと思ったかどうか、知りたいです。後になって考えてみると、という典型ですね。

 

いろいろと不定愁訴にもがいていたとき、感じている症状をとらえては、診察を受けたときに、へ~っ、そんなこともあったのか、と思ったことがあったので、それについて次回に書きます。何となく食べものがのどにつかえると感じ、母の友人に消化管をみてもらったときのことです。

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