Dr OZくすりのよもやま話 (16)

くすりの効き方の不思議さ・面白さ・・・(3)

令和34月30日

いろいろと不定愁訴にもがいていたとき、感じている症状をとらえては診察を受けたときに、へ~っ、そんなこともあったな、と思い出したことがあったので、それについて書きます、と前回書きました。

年がら年中体調の悪さを意識していたわけではありませんが、「何となくスッキリしないよなあ」ということが根底にありました。

何となく食べものがのどにつかえると感じ、母の友人に消化管をみてもらいました。先生は母の友人ですから、小さいころから面識があります。みたては、「もう治っているけど十二指腸潰瘍の痕跡があるよ」でした。何か心当たりはないの?お腹がすくと痛む、みたいなこと、も聞かれたと思います。画像上の消化管の状態については専門用語ではなく、いろいろなものが呈する状態、たとえば「つっぱっている」「よれている」みたいな言葉で表現されたと記憶していますが、正確にどういわれたかは忘れてしまいました。その晩、母のところに電話をくれました。母が「再発するの?」などと尋ねていたのですが、すでに自分自身では「十二指腸潰瘍が治っている」と聞いていたので特に心配はしませんでした。

たぶん、診てもらった直後にいろいろと説明を聞いたのだと思います。話をしているうちに思い当たったのが、大学から「もう一年勉強して来年も受験しなさい」というお沙汰がくだり、予備校に通っていたいわゆる浪人時代、午前中の授業が終わる30分前くらい、つまり、午前1130分頃からの空腹時、無性にお腹が痛くなったことです。これは毎日でした。そして、昼食は食欲満点、食べれば痛みはどこ吹く風、しかも、最も著効をしめす食事はとんかつで、午後はやる気満々でした。翌年の春、大学から「まあ、入学してもいいよ」という入学許可を頂いて以来何も起こりませんでした。

この話を先生にしたら、「まあ、そのときだったかな。」でした。何より支えになった言葉は、「あんた、これくらいなら、だ~いじょうぶ、心配ないよ!」でした。これは気に病む私を力づける言葉であったことは間違いなく、「不定愁訴の原因になっているかもしれない疾患の可能性として最も悪い食道がんを消した」ことになりました。

妙な方向に行きますが、そのとんかつ屋さんの名前で先ほどGoogle検索しました。ほぼ当時あった場所に今もあるようです。

私は実際に消化性潰瘍治療薬を服用していた時期があるのですが、十二指腸潰瘍との関連というか服用の経緯は忘れました。ただ、服用したくすりの名前はよく覚えています。特に耐え難い胃腸症状があったわけではないので、結局ほどなくやめてしまいました。1970年代~1980年代初頭のはずです。先日ドラッグストアに行ったとき、私の頭の中にある名前で販売されていました!いまでは一般用医薬品になったのね、と思いました。もちろん添付文書もインタビューフォームも存在します。私の頭の中では、この物質は四級アンモニウム塩の一つ、と記憶していました。実際には、ドラッグストアで売られているものは配合剤であり四級アンモニウム塩は、抗コリン作用を示す成分です。もう一つの成分は胃内に分泌された胃酸を中和するもの(制酸剤)です。インタビューフォームの「開発の経緯」の中には四級アンモニウム塩という言葉は使われていませんでしたが、四級アンモニウム塩に分類される物質で間違いないと思います。また、製造販売会社は2018年に、もとの会社から現在販売されている会社に承継されているようです。もとの会社は、大きな製薬会社で、私の頭の中にある当時の製造販売会社の名前です。こんなこともあるのか、と思うのは、製造販売承認年月日が2009年の日付になっていることと、発売年月日:不明となっていることです。ただし、製造販売承認年月日については、販売名変更によるとの但し書きがあります。190年代~1980年代初頭に私が服用していた薬で間違いはないと思います。

 

このような次第なので、今回は残念ですが「くすりの効き方の不思議さ・面白さ」とまでは言い難い事例かな、と思います。ただし、当時、同級生から、「お前がのんでる消化性潰瘍治療薬は有名でよく効くやつだな。」と言われたことを書き添えておきます。

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